相続土地国庫帰属法とは

 

 日本社会は人口が減少し,経済が低成長のため,土地の需要が縮小しているのが現状です。

 

 そうした中,相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者はその取得した土地が経済的価値の低い土地である場合,売却等処分が困難なその土地を管理し続けることは自己の意思で取得したものではないため酷であり,また,自己の意思で取得したものではないためその管理が負担となり,その管理が不全となってしまいます。

 

 そこで,自己の意思で取得したものではない相続又は受遺(相続人に対する遺贈に限る。)した土地に限り,その所有権を国庫に帰属させることができるのが相続土地国庫帰属制度です。

 

 

 

申請をすることができる人

 

 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権の全部又は一部(共有持分の所有権移転)を取得し,単独所有の土地の所有者となった者は国庫に帰属させるために承認申請をすることができます。

 

 そして,相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により共有持分を取得した共有者も共有持分を相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)以外の原因により取得した共有者を含めた,共有者全員が共同して申請をする場合であれば,国庫に帰属させるために承認申請をすることができます。

 

 つまり,相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により共有持分を取得した場合であっても,共有者全員と共同でするのであれば,承認申請をすることができるということです。

 

 

合算負担金の申出

 

 承認申請者は,隣接する二筆以上の承認申請に係る土地のいずれもが同一種目に属する時は,法務大臣に対し当該隣接する二筆以上の承認申請に係る土地を一筆の承認申請に係る土地とみなして負担金を算定すべき旨の申出をすることができる。(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令6条1項)
 すなわち,上記の合算負担金の申出をした場合,隣接する2筆以上の土地を一筆分の負担金として国庫に帰属させることができる。

 

 上記の合算負担金の申出は,隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の所有者が異なる場合にもすることが可能であり,この場合,これらの者が共同して申出をしなければならない。(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令6条2項)

 

要件

 

 次の事項に該当しないことが要件となります。

 

1 建物の存する土地
2 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
3 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
4 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
5 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否,帰属又は範囲について争いがある土地
(相続土地国庫帰属法2条3項)

 

6 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち,その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
7 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
8 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
9 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
10 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
(相続土地国庫帰属法5条1項)

 

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